愛に溢れた最期の旅支度
私の祖父が亡くなり夫と義実家の理解と協力があり、ありがたいことに通夜の前の湯灌、納棺から葬儀までほとんどに携わることができたのです。
おじいちゃんはここ数年は施設にお世話になっていて。ある日転んで痛みで動けなくて入院したら何故か全然食べられなくなり。
内視鏡検査をしたらかなり進行した胃がんがみつかったけど特に自然に任せようとなりそこから1ヶ月くらいだったんだけどね。
病気が原因で亡くなったというよりかはすごく自然に枯れるように亡くなった印象。
人間食べられなくなって亡くなるんじゃなくて
亡くなるから食べられなくなる
それを実感しました。
そして最期は無理に点滴をたくさん入れず、やや脱水気味にきっと病院は管理してくれたんだろうな。
むくみも全然なくて、痰が絡んで苦しそうでもなく、眠るようになくなったと聞いて本当に穏やかに旅立ったのが見てすぐにわかりました。
食べられないなら点滴を入れてください!という家族の気持ちも分かるけど、自然に任せるという選択肢もとても穏やかだなと思った。
通夜の前に親族みんなで湯灌をしたのです。
地域色が強く出ていて貴重な体験でした。
まずは湯灌の前に全員でお豆腐を食べ、酒を飲むのです。豆腐湯灌とか食い別れと呼ばれているみたい。
そしてこの手前に写っている荒縄を男の人はポケットに入れ、女の人は右手首に結ぶ。
施主(喪主)である私の父は長い荒縄を腰に巻き付けていました。
これは亡くなった方の霊が自分に入らないように、忌みがかからないようにという意味のよう。
葬儀屋さんの指示に従い、みーんなで旅支度をします。
塩と手水でお清めし、全員湯灌から参加です。
昔は逆さ水を用意してやってたみたいだけどそれはせず。
綿花に消毒液をしみこませてそれで顔、手、足を順番に1人ずつ拭きました。
「足も手も大きくて立派だね」なんて話しながら穏やかに厳かにすすみます。
近しい血縁から足袋を履かせ(左右逆に履かせる)、草履を履かせ、結びは全て縦結び。
両脛には脚絆(きゃはん)、手には手甲をつけ、これも縦結び。
数珠を持たせて頭陀袋に60円、大好きだった木村屋のこしあんぱんと三ツ矢サイダーを入れて。
男手みんなで納棺後は
女性たちで経帷子を着せておじいちゃんがよく着ていたスーツを上から着てる風に乗せてあげて。お布団かけて顔周りにはたくさんのお花を添えて。
思い出話をしながら旅支度をみんなでしてあげられた。悲しいお別れの場ではあるけど温かい思い出として残る儀式でした。
曹洞宗のお経って意外とわかりやすい。
生きとし生けるものは
亡くなる時に本当の御仏の心を知る
なるほどねぇ。
いつか永平寺に行ってみよう。
ありがとうとさようならの心を添えて。
温かなさようなら、そして迷うことなく導きのままにいってらっしゃいの旅支度。
終えた夕焼けがピンクと紫のグラデーションで本当に美しくて。
いい時間をすごせました。
また来世でもあなたの孫に生まれられますように。